わたしの「小公子」はすごいんです
10代後半くらいだったと思います。
ある日、本屋さんの中をぶらぶらしていて、ふと手に取った本。何だったのか憶えていませんが、雑誌かなにかで特集が組まれていたのだと思います。
そこに掲載されているイラストのいくつかを見て、わたしは(心の中で)叫びました。
「この絵を描いているひと、小公子の挿絵を描いている人だ!」
名前を憶えて、家に帰って本棚に直行しました。
「やっぱし、この人や!」
その名前は『いわさき ちひろ』
わたしの中で生きているセドリックは、ちひろさんが描かれた姿なんです。
だから、カルピスの名作劇場でアニメを観た時は「ちがう~」と思って、1,2回しかみていません(笑)
柔らかく温かく、儚げなだったり時にはユーモアも含んでいて、ちひろさんの挿絵はほんとうに『小公子』にぴったりなんです。
今も手元に置いています。
たぶん著作権とか色々あると思うので、勝手に写真のせたりできないのが残念です。
いわさきちひろ画集はたくさん出ていて、色々見ていますが、このセドリックに出会ったことがありません。版権の問題とかあるのかも知れませんね。
とにかく挿絵『いわさき ちひろ』の本なんです。
そのうえ、この本の翻訳者は、あの『川端 康成』なんです。
たぶん、これも10代後半のことだと思うのですが、いかにノーベル賞作家といえど、英語の力はどうだったんだろう? と疑問に思ったことがありました。ネットなどない時代ですから、よくわからないけど児童文学に造詣があり尽力していた人だということを知りました。
この文を書くために、あらためてネットで調べてみると、野上彰さんと組んでかなり翻訳をしておられます。この「小公子」にも野上彰氏の協力を得たという挨拶文が載っています。好んで少年少女の作文を読んだり、評を書いたりしておられたようですが、何より驚いたのは、少女小説と分類される話を書いておられることです。少し読むと、愛だとかS(同性愛っぽいこと)だとか、なんだか今でも通用しそうです。
そして、大人になったわたしは、翻訳は英語能力だけじゃない、と知っています。
原作を読みたいと、Project Gutenbergに(心の中で)お礼をいいながら、ダウンロードさせて頂きました。
ゆっくりゆっくり眺めているだけですが、F・H・バーネットは本当に上手いストーリーテラーですよね。わくわく、どきどき。でも、児童向けに書かれていて、子どもにも分かることに重点がおかれている感じがします。ちょっとまどろっこしいというか、これをシニアも読みやすい文に翻訳してもらえたらいいのにと思います。
大人向けに書かれた文を、子ども向けに翻訳するのは良いのだから、児童向けの文をシニア向けに翻訳しても良いことになりますよね?
いわさきちひろさんの挿絵が使えないのは残念ですが・・・